もし子ザメちゃんが日本で映画「ペリリュー ─楽園のゲルニカ─」を観た後にパラオに行ったら🦈🕊️
もし「おでかけ小ザメ」の子ザメちゃんが、昭和100年、80年続く平和の年、ジョーズ50周年、そして自らの映画「おでかけ小ザメ とかいのおともだち」も公開された意義深い万博イヤー2025年の師走に公開された映画「ペリリュー ─楽園のゲルニカ─」を鑑賞した後に、速攻で成田空港からパラオへふんわり旅立ったら、という妄想ブログです。
以下、子ザメちゃんのサメ語をなんとなく日本語に翻訳してSDGsにお届けします。
Little Shark Visits Peleliu: A Journey from Cinema to Sacred Ground
⚠️ Spoiler Alert:この記事には映画『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』の内容に触れる部分があります(映画未見の方はネタバレご注意下さい)
はじめてのムビチケ体験
ここは、とあるオシャレなミニシアター。
「ムビチケって、どうやって使うんだろ…?」
子ザメちゃんは、スマホの画面とにらめっこしていました。
今日観る映画『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』のチケットを、生まれて初めてムビチケで購入したのです。
送付されたムビチケカードを大切にお手々(ヒレ)に持って。
「あ、スマホで座席指定すればいいのか!」
そうこうするうちに、待ち合わせをしていたお友達が合流。
ぷぴっ♪
エントランスの機械に、スマホにスクショしていたムビチケのQRコードをかざすと、スムーズに入場できました。
一昔前は、映画のチケットは紙のものしかなく、駅前のチケット屋さんとかで数百円お得にゲットしたり……
時代も変わったものです。
「家でも映画館でも席がとれるし、便利だね、これ!」
子ザメちゃんは、背負っていた唐草模様の風呂敷を優しく開きました。
中には、映画のオリジナルグッズでもあるスケッチブックと「流れる涙に、」と書かれた手ぬぐい。
「これ、絶対必要だよねっ」
春に訪れたEXPO2025大阪・関西万博のことを思い出します。
大屋根リングの圧倒的なスケール感、各パビリオンの素晴らしさ。
そして何より、コモンズA(Commons-A)のパラオパビリオン(Palau Pavilion)。
あの美しい海の映像、木彫りのアート作品「イタボリ(ストーリーボード)」などパラオの文化にダイレクトに触れたあの瞬間から、子ザメちゃんのパラオへのあこがれは最高潮に達していました。
「パラオ……いつか絶対行きたいって思ってたんだよね!」
お友達と一緒に売店へ。
定番の塩味ポップコーンと、この映画をイメージして作られたオリジナルのノンアルコールカクテルのセットを注文しました。
「わぁ!」
カクテルは透明感のある美しい海色。
エメラルドグリーンのグラデーションが、まるでパラオパビリオンでみたあの透きとおった海みたい。
「これ、めっちゃ綺麗!」
香ばしいポップコーンと、フルーティな香りがする、きらめく海色のカクテルがのったお盆を片手に、子ザメちゃんはシアターに入りました。
涙と癒やしと
座席に落ち着き、さっそくカクテルを飲むと、子ザメちゃんも大好きな南国フルーツの1つ、ドラゴンフルーツの味がしました。
おいしい!
予告が終わり、映画が始まりました。
可愛らしい3頭身キャラクターの絵柄に最初は安心していた子ザメちゃんでしたが、物語が進むにつれて、その残酷さに息を呑みます。
米軍の戦闘機、戦艦、LST(戦車揚陸艦)などがペリリュー島の浜辺に到着し、まもなく激しい地上戦が開始。
リアルな爆撃の音。
倒れていく仲間たち。
飢えと渇き。
伝染病。
米軍は、4万人もの兵士を動員し、強力な武器で攻めてきます。
対する日本兵はわずか1万人。
三八式歩兵銃※や銃剣で応戦するも、弾薬も少なく、多勢に無勢で少しずつ侵攻されていきます。
日ごとに消耗しきった兵隊さんたちは徐々に食べ物がなくなり、カタツムリやヘビ、トカゲ、ネズミ、フルーツバットなど、普段は絶対に口にしないような生き物や雑草を食べる以外に選択肢はなくなりました。
また戦闘死の影に隠れがちですが、病死・衰弱死は非常に多く、その人数は2,500名以上とされています。
ペリリュー島は高温多湿の熱帯気候で、地上戦が予想以上に長期化したため、以下のような病気が蔓延しました。
- マラリア
- 赤痢
- デング熱
- 皮膚病(湿疹・癤など)
子ザメちゃんは、ポップコーンを食べる手が何度も止まり、本編前の予告の間に全部食べておけばよかったと思いました。
でも……
「あ…」
ある晩、平穏な洞窟の中で、兵隊さんたちが手に入れた食料や物資を囲んで、束の間の楽しい時間を過ごす場面がありました。
誰かが冗談を言って、みんなが笑う。
豪勢な晩餐会のような、温かいひととき。
「こういう時間も…あったんだね」
過酷を極める戦場の中でも、人間らしさを失わない瞬間。
仲間との絆。
そんな場面に、子ザメちゃんは深く癒やされました。
そして物語の終盤、家族からの愛がこもった手紙を読む場面。
仲間たちそれぞれが、故郷からの便りを開く。
『元気でいますか。毎日あなたのことを想っています……』
子ザメちゃんは、持ってきた「流れる涙に、」映画オリジナル手ぬぐいで涙を拭いました。
でも涙は止まりません。
お友達も、同じようにハンカチを目に当てています。
シアター中から、静かなすすり泣きが聞こえてきました。
パラオの美しい自然が描かれた場面の中で、白い鳥が飛び立つ姿がありました。
上空から見下ろす島の眺め。人々の姿。
パラオの鳥たちは、何を見ているのだろう。
何を感じているのだろう。
その光景も、子ザメちゃんの心に深く刻まれました。
「蝶や鳥みたいに、飛んで行けたら」……
上白石萌音「奇跡のようなこと」
※歩兵銃
決心
映画館を出た後、子ザメちゃんとお友達はしばらく無言でした。
海色のカクテルのカップを握りしめながら、二人は歩いています。
「……行ってみたい」
子ザメちゃんがポツリと言いました。
「え?」
「ペリリュー島。実際に、この目で見てみたい」
お友達が驚いた顔で子ザメちゃんを見ました。
「本気?」
「うん、本気」
子ザメちゃんは立ち止まって、お友達を見つめました。
「そして…周りであまり話題になっていないのはなんで!?って思ったの。たくさんの人に観られるべきなのに。幸せな気持ちにはなれないかもしれないけれど、忘れ去っていいことではないの」
お友達は真剣な表情で頷きました。
「そうだね……私も、同じこと思ってた」
その夜、子ザメちゃんは愛用のパソコンちゃんでぽちぽちと検索していました。
「パラオ、ペリリュー島。慰霊ツアー……」
そして見つけたのが、RITC(ロックアイランドツアーカンパニー)のペリリュー慰霊ツアー。
……
「これだ…!」
旅の準備と成田での一泊
数週間後、子ザメちゃんは友達と一緒に、成田空港界隈に向かう電車に乗っていました。
「本当に行くんだね、パラオ!」
イヤホンをそっと耳に当てて、子ザメちゃんはお友達が作ってくれたステキな旅のプレイリストを再生しました。
パラオ旅・曲セットリスト
まずはマンディ満ちる「Leaf In The Wind」。
風に揺れる葉のように、心が揺れる。
次に流れてきたのはAdam F「The Trees Know Everything」。
その歌詞の中で木は、
- 時の流れを超えてそこに立ち続ける存在
- 人間の感情や争いを静かに見守ってきた証人
- 自分たちが理解できなかったことを知っていた存在
として描かれています。つまり木は、
「変わらない自然」「真実を知る存在」「人生の観察者」
の象徴なのです。
木々はすべてを知っている……ペリリュー島の木々も、あの戦いを見ていたんだろうか。
ロザリーナ「where you come from」が流れてくると、映画『おでかけ小ザメ とかいのおともだち』の主題歌だったことを思い出しました。
何度聴いても、子ザメちゃんの心が弾む曲。
隠れた名曲、ドイツのバンドCultured Pearlsによる「Mother Earth」「Just To Let You Know」。
アストリッドの切なく憂いを帯びたハスキーな声が心に響く。
ただあなたに知ってほしい、という優しいメッセージ。
気分を変えて、TOMORROW X TOGETHER「Rise」。
【BEYBLADE X】の曲で、立ち上がる力強さを感じる。
そして「POP UP!」lol -エルオーエル-のポップな明るいビート。
西野カナ「eyes on you」の優しい歌声。
切なくも心地よい8ビート、光永亮太「Always」。
続いて、George Bensonの歌う「Love Ballad」。
映画が公開された12月らしいクリスマスソング、Mary J. Blige「Have Yourself A Merry Little Christmas」、矢井田瞳&恋バスBAND with小田和正 「恋バス」。
美しいピアノの旋律が印象的なreplus「Blue Sky」。
ジブリの世界観にも浸れる美しい歌、平原綾香「いのちの名前」。
広島をテーマにした戦後80年に相応しい曲、ポルノグラフィティ「言伝」。
長崎の原爆に耐えた御神木、楠(くすのき)の目線で歌われる、福山雅治「クスノキ」。
毎年8月9日の長崎、平和祈念式典で子どもたちが必ず歌う「千羽鶴」。
そして、映画の主題歌「奇跡のようなこと」。
上白石萌音の透明感のある歌声だけで、なぜか涙がこぼれてくる。
この曲をセットリストのトリにしよう。
最後は、おでかけ小ザメのエンディングテーマ「よりみち」。
いつもの冒険の終わりを告げる、あの温かい曲。
でも今回は、いつもとは違う旅の始まり。
音楽を聴きながら、窓の外を眺めていると、これから始まる旅の重みを感じました。
千葉のホテルに前泊
パラオへのフライトは早朝発。
前日入りして、成田空港へのアクセス(京成成田空港線)も便利な、ホテルルートインに一泊することにしました。
チェックインを済ませると、部屋へ。
シンプルで清潔感ばっちりで快適。
「明日に備えて、早く寝よう!」
でも興奮して、なかなか眠れません。
二人はクイーンサイズのダブルベッドの上で、パラオのガイドブックを眺めていました。
「楽しみだけど……ちょっと緊張するね」
「うん…」
いつものお出かけとは、少し違う重みがありました。
窓から夜空を見上げると、映画にも出てきたような、細長い三日月と煌めく星たち。
……
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今回の旅で子ザメちゃんは、千葉のホテルルートインをはじめ、パラオのリゾートホテルまで、すべて楽天トラベルで予約しました。ポイントも貯まるし、レビューも参考になるから、旅の計画がとってもスムーズ!海外ホテルの予約も日本語でできて安心です🦈
成田からパラオへ
早朝4時、起床。
眠い目をこすりながら、空港へ向かいます。
チェックインカウンターで荷物を預けて、いよいよ搭乗。
「パラオ行き、出発します!」
飛行機が離陸すると、だんだん日本列島が小さくなっていきます。
約4時間半のフライト。
雲の上をゆうゆうと進む飛行機。
機内食を食べてゆっくりしていると、時間がたつのもあっという間です。
飛行機の高度が下がり、ふと窓の外を見ると、海の色が変わっていきました。
「あ…!」
ダークブルーから、だんだんエメラルドグリーンへ。
まるで映画館で飲んだあのカクテルの色。
「パラオだ……!綺麗だなぁ」
飛行機がパラオ国際空港に着陸すると、子ザメちゃんとお友達は顔を見合わせました。
「着いちゃった!」
窓越しに、地元っぽいパラオ人スタッフさんが手を振って歓迎してくれています。
子ザメちゃんはパスポートを用意して、よちよちと入国ゲートに向かいました。
「パラオの旅を楽しんでね!」
ここでもスタッフさんに歓迎され、子ザメちゃんたちは嬉しくなりました。
ワクワクしながら外に出ると、むわっとした熱帯の空気。
赤道直下の太陽がまぶしい!
紫外線は日本の7倍もあるそうで、日焼け対策必須です。
パラオ・ロイヤル・リゾート
空港からタクシーで約20分、12kmほど。
到着したのは、パラオ・ロイヤル・リゾート。
「わぁ…!」
ハーフオープンエアのロビーから見える景色は、まさに楽園。
熱帯魚やウミガメ、エイの泳ぐ海水の池、プールの向こうに青い海、白い砂浜、ヤシの木。
親切な地元スタッフさんの歓迎を受けてチェックインを済ませると、二人はハイビスカスで作られたかわいい首飾りをかけてもらいました。
なんて嬉しいサプライズ!
そしてツインルームへ。
ドアを開けると……
目の前にホテルのプライベートビーチとパラオの島と海の美しい景色が広がる、オーシャンビューのステキな部屋。
「あ、何かある!」
ふかふかベッドの上に、ホテルオリジナルのTシャツがプレゼントとして置いてありました。
パラオの海をイメージした、エキゾチックなデザイン。
「かわいい!着ようよ!」
二人でさっそく着替えて、鏡の前でポーズ。
「記念写真とか撮ろう!」
でも、笑顔の奥に、少しだけ緊張がありました。
明日はペリリュー島。
窓から見上げたパラオの夜空は、満天の星空でした。
RITCの慰霊ツアー
翌朝、日の出とともに目覚めバッチリの子ザメちゃん。
朝ごはんはビュッフェスタイルでお腹いっぱい。
とりわけ、デザート代わりのパイナップルジュースがおいしかった!
そして、ホテルのロビーでRITC(ロックアイランドツアーカンパニー)のガイドさんと合流しました。
「アリー!私は今日のガイド、カルビンです」
いかにもパラオ人らしい、浅黒い肌で笑顔がステキなシュッとした風ぼうの若い男性。
日本語がとても上手です。
「アリー…?」
子ザメちゃんが首を傾げると、カルビンさんが笑顔で説明してくれました。
「パラオ語で『こんにちは』という意味だよ。今日はペリリュー島の慰霊ツアーですね。車で港まで行って、そこからボートに乗ります」
車に乗り込むと、カルビンさんが話しかけてくれました。
「二人は日本から?すごいね!何がきっかけで、ペリリュー島に?」
子ザメちゃんが答えました。
「映画を観て…実際に五感で感じてみたくて」
カルビンさんは優しく微笑みました。
「そうですか。……きっとあなた方にとって大切な場所になると思いますよ、ペリリュー島は」
船の上での会話
港からボートに乗り込みます。
小型ながらも上質なスピーカーを備えたボートでは、tsunenoriの「Diamond Sea」が流れています。
エメラルドグリーンの海を進んでいくと、小さな島々が見えてきました。
「このたくさんの島たちが、ロックアイランドだよ!」
カルビンさんがわかりやすく説明してくれます。
ロックアイランドとは
子ザメちゃんは、ロックアイランドについてのカルビンさんの熱量マックス!の熱すぎるくらい熱い語りを簡単にまとめてみました。
🌴 ロックアイランドの魅力(ざっくり版)
✅ 世界遺産に登録された圧倒的な自然美
大小400〜445もの無人島が点在し、マッシュルーム型の島々と透明度の高い海がつくる景観は、まさに南国の楽園。
✅ ここでしか見られない絶景スポット
- セブンティアイランド:パラオを代表する絶景。上空から見ると感動レベル
- ロングビーチ:干潮時にだけ現れる真っ白な砂の道
- ミルキーウェイ:乳白色の海で泥パック体験ができる人気スポット
✅ 神秘の湖・マリンレイク
ロックアイランドには52もの汽水湖があり、透明度抜群の静寂の世界が広がるマリンレイクは“天然の癒し空間”。
✅ クラゲと泳げるジェリーフィッシュレイク
無毒のクラゲが大量に生息する湖で、かわいいクラゲといっしょに泳ぐという唯一無二の体験ができる。
✅ 海の生き物の宝庫
385種以上のサンゴやジュゴン、イルカなど、多様な海洋生物に出会えるダイビング・シュノーケリング天国。
ロックアイランドは「自然の美しさ」「神秘」「アクティビティ」の三拍子がそろった、世界でも類まれな場所なんです。
パラオ語を学ぼう
「ところで、パラオ語に興味ある?」
「あります!」
子ザメちゃんは身を乗り出しました。
「じゃあ、挨拶から。さっき言った『アリー』が『こんにちは』。『スラン』は『ありがとう』」
「スラン!」
「いいね!『ウンギル トゥタウ』は『またね』」
お友達も一緒に繰り返します。
「ウンギル トゥタウ!」
カルビンさんは楽しそうに笑いました。
「あと、面白いのは『アジダイジョーブ』って言ったら『おいしい』。『ツカレナオース』は『ビールを飲む』」
「えー!日本語みたい!」
「そう。日本統治時代の名残でね。日本語がそのままパラオ語になった言葉がたくさんあるんだよ」
カルビンさんは少し真剣な顔になりました。
「だから、ペリリュー島は、日本にとってもパラオにとっても、めっちゃ大切な場所なんだ」
子ザメちゃんはコクリと頷きました。
ボートは青い海を進んでいきます。
爽やかな風が、なんとも心地よい。
でも、子ザメちゃんの胸は複雑な思いでいっぱいでした。
BGM:
Replus – Sanctuary
ペリリュー島到着
約1時間の船旅の後、緑の生い茂る小島が見えてきました。
「あれがペリリュー島。日本で言うと、広島の宮島…その半分ほどの小さな島です」
カルビンさんが指差します。
綺麗な砂浜、緑豊かな、本当に美しい島。
船が接岸すると、子ザメちゃんはよちよちと島に降り立ちました。
「ここが……」
映画で観た場所。
勇敢で逞しい兵隊さんたちが、確かにいた場所。
子ザメちゃんたちを歓迎してくれるかのように、純白の海鳥たちが透きとおった甲高い声で鳴いていました。
平和記念公園
最初に訪れたのは、ペリリュー平和記念公園。
ペリリュー島の最南端、スカーレットビーチのすぐそばにあります。
そこにはグレーの慰霊碑が、青い海と空を背景に、静かに立っています。
カルビンさんが説明してくれました。
「1944年9月15日から約2ヶ月半、この島で激しい戦いがありました。日本軍約1万人、そのうち生き残ったのは34人。4万人いたアメリカ軍は、約2000人が亡くなりました」
子ザメちゃんとお友達は、慰霊碑の前で手を合わせました。
映画で観た愛おしいキャラクターたちの顔が浮かびます。
「本当に…ここで…」
涙がこぼれました。
お友達も泣いています。
カルビンさんは静かに待っていてくれました。
近くの木々の葉っぱが海風でそよぎ、美しく白い鳥たちが青空に向かって羽ばたきました。
洞窟陣地
次に、日本軍が使っていた洞窟陣地へ。
「気をつけて。中は暗いです」
カルビンさんが懐中電灯を照らしながら、案内してくれます。
洞窟の中は、ひんやりとしていて、狭い。
湿気っぽくて、なんだかこもった空気。
時の流れが止まったかのよう。
「ここで……生活してたんだ」
壁には、日本語の落書きが残っていました。
『必ず帰る』 『母さん、元気で』
子ザメちゃんは壁にそっと手を当てました。
「映画で観た……あの場面。ここで、みんなで食事を分け合ったり、笑い合ったりしてたのかな」
お友達も頷きました。
「あの晩餐会みたいな場面…この暗い洞窟の中で、少しでも楽しい時間を作ろうとしてたんだね」
洞窟を出ると、まぶしい太陽。
コントラストが激しすぎて、目がくらみました。
カラッとした爽やかな海風が一瞬、さらりと吹き抜けました。
旧司令部跡と戦車
次に訪れたのは、旧日本軍司令部跡。
コンクリートの壁には、無数の弾痕。
「これ…全部…」
子ザメちゃんは壁に触れました。
表面はザラザラしていて、少し触っただけで石が崩れてきます。
「80年経っても、消えないんだね」
道を進むと、錆びついた戦車が草むらにありました。
「あれは米軍の戦車。日本軍の砲撃でやられて、そのまま」
子ザメちゃんは戦車に近づきました。
鉄は冷たくて、ボロボロ。
「映画で観たより……もっと生々しい」
オレンジビーチ
午後、カルビンさんはオレンジビーチに連れて行ってくれました。
「ここが、米軍が最初に上陸した場所です」
今は穏やかな波が打ち寄せる、美しいビーチ。
子ザメちゃんは砂浜に座り込みました。
「1944年9月15日、ここに何千もの兵隊さんが……」
お友達も隣に座りました。
「映画の最初の場面、ここだったんだね」
白い砂浜も、慰霊碑も、洞窟も、戦車も、ぜんぶ平和の尊さを語りかけているように感じました。
二人は、しばらく無言で海を見つめていました。
波の音だけが聞こえます。
「平和だね……今は」
「うん」
BGM:
replus – Quietblue
カルビンさんの話
帰りのボートの中で、カルビンさんが話してくれました。
波で侵食されて、かわいいくびれができた小さな小島たちを眺めながら、カルビンさんの言葉に耳を傾けます。
「私の曾祖父は、日本人でした」
子ザメちゃんは驚いて、カルビンさんを見ました。
「えっ……!」
「曾祖父は戦後、この島に残ることを選んだ。島の女性と結婚して、家族を作った。だから私がいます」
カルビンさんは海を見つめました。
「戦争は悲しいこと。でも、その後に生まれた命もある。大切なのは、忘れないこと。そして、二度と繰り返さないこと」
「スラン…」
子ザメちゃんは、さっき教えてもらった「ありがとう」を言いました。
カルビンさんは優しく微笑みました。
「ウンギル トゥタウ」
またね。
シュノーケリング
翌日、子ザメちゃんたちはシュノーケリングツアーに参加しました。
「ダイビング免許は持ってないんだけど、シュノーケリングなら!」
子ザメちゃんはサメとはいえ、まだダイビングライセンスは持っていません。
でも、シュノーケリングなら水面から美しい海を楽しめます。
インストラクターにマスクとシュノーケル、フィンをつけてもらって、よちよちと海に入ります。
「わぁ……!」
水面から顔をつけた瞬間、別世界が広がっていました。
透明度が高くて、まるで空を飛んでいるみたい。
太陽の光が水中に差し込んで、キラキラと輝いています。
「あ、クマノミ!」
オレンジと白の縞模様の可愛いクマノミが、イソギンチャクの中で泳いでいます。
ニモだ!とお友達が水中で指を差します。
さらに泳いでいくと、鮮やかなブルーのルリスズメダイの群れ。
まるで青い宝石が泳いでいるよう。
「すごい、あれ見て!」
大きなナポレオンフィッシュ(メガネモチノウオ)が、ゆったりと泳いでいきます。
体長1メートル以上ある巨大な魚。おでこがボコっと出ていて、その姿は迫力満点。
サンゴ礁の周りには、黄色と黒の縞模様のチョウチョウウオ、赤い体のアカヒメジ、青と黄色のタテジマキンチャクダイ。
色とりどりの熱帯魚たちが、まるで絵の具箱をひっくり返したように泳いでいます。
「あっ、ウミガメ!」
少し遠くに、ゆっくりと泳ぐアオウミガメの姿。
優雅に前脚を動かして、海中を漂っています。子ザメちゃんは息を止めて、その美しい姿を見つめました。
岩の隙間からは、赤と白のミノカサゴがひらひらと美しいヒレを広げています。
「毒針があるから触っちゃダメだよ」とインストラクターが教えてくれました。
そして、サンゴ礁。
テーブルサンゴ、枝サンゴ、脳サンゴ……様々な形のサンゴが、海底に広がっています。
その周りを、無数の小魚たちが銀色に輝きながら群れをなして泳いでいます。
でも、ふと目に入ったもの。
海底に、錆びついた金属の塊がありました。
「あれ…」
インストラクターが説明してくれます。
「あれは戦争の時の残骸だよ。飛行機の一部かもしれない。今は、サンゴや海藻に覆われて、魚たちの隠れ家になってるんだ」
その金属の周りを、カラフルな魚たちが自由に泳いでいます。
子ザメちゃんは、水中で静かに思いました。
戦争の傷跡が、今は新しい生命の住処になっている。
破壊されたものが、別の形で生命を支えている。
水面に顔を上げると、青い空が広がっていました。
「生命って……すごいね」
お友達も頷きました。
「うんっ、……強いね」
シュノーケリングを終えて、ボートに上がります。
海水でしょっぱくなったお口を舐めながら、子ザメちゃんは振り返りました。
エメラルドグリーンの美しい海。
その下には、戦争の記憶と、新しい生命が共存している。
「この海、忘れられない」
BGM:
Replus – Everlasting Truth
最後の夕暮れ
パラオ最後の日、子ザメちゃんとお友達はホテルのプライベートビーチで、サラサラの白い砂を撫でながら夕日を眺めていました。
空がなんとも言えないグラデーションで、オレンジ色に染まっていきます。
「オレンジビーチの色……」
「うん」
お友達が言いました。
「来てよかったね」
「うん……本当に」
子ザメちゃんは、ホテルでもらったTシャツを着ていました。
「この旅、忘れられない」
「私も」
二人は肌を寄せ合い、最後のかすかな光を放ちながら沈んでいく、美しいパラオの夕日をじっと静かに見つめていました。
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エピローグ:子ザメちゃんの帰国
帰りの飛行機の中、子ザメちゃんは窓からパラオの島々を見下ろしていました。
エメラルドグリーンの海、小さな島々、白い砂浜。
「楽園のゲルニカ……」
映画のタイトルの意味が、今なら本当に分かります。
「ゲルニカ」とは、スペインでの内戦の時、ゲルニカという街が無差別爆撃によって滅ぼされた事件をきっかけに生まれた、巨匠パブロ・ピカソの絵画。
美しい楽園が、戦争によって地獄になった。
でも80年経った今、また美しさを取り戻している。
傷跡を抱えながら。
「平和って…当たり前じゃないんだ」
毎日好きな場所にお出かけできること。
友達と笑い合えること。
美味しいものを食べられること。
夜、安心して眠れること。
全部、平和があるから。
子ザメちゃんは、機内でノートを開きました。
「感じたこと、書こう。たくさんの人に伝えたい」
これは子ザメちゃんにとって、一番大切な旅になりました。
BGM:
tsunenori _ Sea Of Clouds
この記事は、フィクションとノンフィクションのハザマです
おわりに
映画『ペリリュー─楽園のゲルニカ─』、ぜひ観てください。
残酷な場面もあります。
でも、洞窟での安息のひとときみたいに、癒やされる場面もあります。
涙をいつでも拭えるよう、手ぬぐいやハンカチを忘れずに。
そして機会があれば、ぜひパラオのペリリュー島を訪れてください。
RITCのツアーは、本当に丁寧で心に響くツアーです。
パラオ・パシフィック・リゾートは楽園のようなホテルで、お部屋からレストランまでどこにいても、とても居心地の良い空間。
成田での前泊も、ホテルルートインで快適でした。
でも、一番大切なのは……
平和の意味を知ること。
忘れないこと。
次の世代に伝えること。
戦争を知らない世代だからこそ、知らなきゃいけない。
子ザメちゃんのお出かけは続きます🦈
でも今回の旅で、「お出かけできる幸せ」の意味を、深く深く知ることができました。
泳ぎ続けよう、平和の海を。
🦈💙🕊️
─おしまい─
♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰⋱✮⋰⋱
ここまでお読みいただきありがとうございました。
このブログきっかけでパラオの自然や文化、歴史に興味をもっていただければ、これ以上嬉しいことはありません。
📍今回の旅メモ
🎬映画鑑賞
- 映画館:ミニシアター
- チケット:ムビチケ(初体験!)
- 持ち物:唐草模様の風呂敷に包んだスケッチブック(オリジナルグッズ)と「流れる涙に、」手ぬぐい
- 劇場で:ポップコーン+オリジナル海色ノンアル・フルーツカクテル
- 必需品:ハンカチ、手ぬぐい(涙拭き用)など
- 印象的なシーン:オレンジビーチ、洞窟基地、飛び立つ白い鳥、上空から見る島の眺めなど
- 移動中のBGMなど:
- マンディ満ちる「Leaf In The Wind」
- Adam F「The Trees Know Everything」
- ロザリーナ「where you come from」(映画『おでかけ小ザメ とかいのおともだち』主題歌)
- Cultured Pearls「Just To Let You Know」「Mother Earth」
- 【BEYBLADE X】TOMORROW X TOGETHER「Rise」
- 「POP UP!」lol -エルオーエル-
- 「eyes on you」西野カナ
- ニュー・オーダー「Ceremony」
- 平原綾香「いのちの名前」
- ポルノグラフィティ「言伝」
- 大島ミチル「千羽鶴」
- セットリストのトリ:映画主題歌「奇跡のようなこと」
- 大トリ:おでかけ小ザメエンディングテーマ「よりみち」
🌴旅の前に
- 2025年春:EXPO2025大阪・関西万博を訪問
- 大屋根リングと各パビリオンに感動
- コモンズA(Commons-A)パラオパビリオン(Palau Pavilion)でパラオへのあこがれが最高潮に!
🏨宿泊先
- 千葉:ホテルルートイン・千葉ニュータウン中央駅前-成田空港アクセス線-(前泊)
- パラオ:パラオ・パシフィック・リゾート(ツインルーム)
- 特典:オリジナルTシャツプレゼント
🚢ツアー
- 会社:RITC(ロックアイランドツアーカンパニー)
- コース:ペリリュー慰霊ツアー
- ガイド:カルビンさん
- パラオ語ミニレッスン付き!
- こんにちは:Alii(アリー)
- ありがとう:Sulang(スラン)
- またね:Ungil tutau(ウンギル トゥタウ)
- おいしい:アジダイジョーブ
- ビールを飲む:ツカレナオース
📍訪問地
- ペリリュー平和記念公園
- 日本軍洞窟陣地群
- 旧日本軍司令部跡
- オレンジビーチ(米軍上陸地点)
- 各所の戦跡
- ダイビングスポット
✈️予約
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『おでかけ子ザメ』第1話「映画」
『おでかけ子ザメ』第2話「橋ってすごい」
『おでかけ子ザメ』第3話「冷やしパイン」
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戦争を知らない世代だからこそ、知ろう。
忘れないために、伝えるために。
Summary
This journey began with a film that moved me deeply—Peleliu: Guernica of Paradise. The contrast between its gentle animation style and the harsh reality of war it portrayed left an indelible mark on my heart. After experiencing the Palau Pavilion at EXPO 2025 in Osaka earlier this year, my longing to visit Palau had reached its zenith.
The memorial tour of Peleliu Island, guided by the warm and knowledgeable Calvin from RITC, proved to be profoundly transformative. Standing before the Peace Memorial Park, exploring the cave fortifications where Japanese soldiers once sheltered, and witnessing the bullet-scarred walls of the old headquarters brought the film’s narrative into vivid, tangible reality.
What struck me most was the island’s dual nature—a paradise that bore witness to unspeakable tragedy, yet now flourishes with new life. The rusted tanks overtaken by vegetation, the aircraft wreckage beneath the sea now home to tropical fish, all speak to nature’s remarkable capacity for renewal whilst never quite erasing the scars of history.
Calvin’s story—his great-grandfather being one of the few Japanese soldiers who survived and chose to remain on the island—embodied the message that whilst war brings profound sorrow, life persists and new connections form. The integration of Japanese words into the Palauan language serves as a living testament to this complex, intertwined history.
This wasn’t merely another excursion for this little shark. It was a pilgrimage to understand what peace truly means. The privilege of travelling freely, laughing with friends, enjoying simple pleasures—these aren’t givens. They’re gifts purchased at tremendous cost by those who came before us.
As the film’s imagery of white birds soaring above the island lingers in my memory, I’m reminded that we, too, must rise above and maintain perspective on our shared history. For those unfamiliar with this chapter of the Pacific War, I cannot recommend highly enough both viewing the film and, if possible, visiting Peleliu Island itself. Some journeys change us fundamentally, and this was undoubtedly one of them.
The playlist that accompanied this journey—from the contemplative “Leaf In The Wind” to the hopeful “Rise,” culminating in the film’s theme “Miracle-Like Things” and the ever-comforting “Yorimichi(Drop in on the way)”—soundtracked not just a holiday, but a profound education in remembrance, gratitude, and the enduring importance of peace.
For we who have never known war, it is precisely our duty to remember, to learn, and to ensure such tragedy never repeats itself.






